神奈中ハイヤー受動喫煙訴訟判決に対する日本禁煙学会の見解および声明
(内閣総理大臣、北側国土交通大臣、国土交通省自動車交通局長に送付)
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平成18年5月31日
内閣総理大臣様
北側国土交通大臣様
国土交通省自動車交通局長様

タバコ規制枠組み条約を批准した政府には
タクシー全面禁煙化を早急に実現する責務があります

神奈中ハイヤー受動喫煙訴訟判決に対する日本禁煙学会の見解および声明

日本禁煙学会
理事長  作田 學
181-8611三鷹市新川6-2-20
杏林大学神経内科教授室内
E-mail
FAX 0422-47-5931
URL:http://www.nosmoke55.jp/


日本禁煙学会の声明
政府は早急にタクシーの全面禁煙化を実現する諸措置を講ずるべきです.

理由
1. 大畠英樹氏が、勤務中の受動喫煙被害に対して勤務先の神奈中ハイヤー(本社・神奈川県厚木市)に50万円の慰謝料を求めた訴訟の判決が2006年5月9日横浜地裁小田原支部でありました。原告の請求が棄却されたことはきわめて遺憾ですが、判決において、タクシーの早急な全面禁煙化が望ましいと指摘されたことは評価できます。同様の指摘は昨年12/20東京地裁のタクシー受動喫煙訴訟判決でもなされています。

2. ここで問われるのは、政府の姿勢です。特に、タバコによる健康被害を廃絶するために作られた国際条約「たばこ規制枠組み条約」(日本での発効日は平成17年2月27日)を批准した日本政府には、条約の内容を誠実に、かつ迅速に実践する国際的責務が課せられていることに注意を喚起したいと思います。この条約の第8条は、国民を受動喫煙被害から守る積極的な対策を講ずる責務が政府にあることを明示しています。第8条を誠実に解釈し適用するために、各国政府には、喫煙者と非喫煙者を保護するために最大限に可能な限りの幅広い公共の場、職場、タクシーを含む公共交通機関に完全禁煙を広げることが要請されています。政府には閉鎖空間となっているすべての職場と公共の場を例外なく完全禁煙とすべきであると勧告する責務があります。以上のことが行われない限り、すべての市民を受動喫煙という致死性の毒への曝露から保護するという要求を達成することはかないません。

3. 前記の司法所見に加え、タクシーの全面禁煙化を求める世論が高まっている現在、もし政府が何の行動も起こさなければ、国際的にはタバコ規制枠組み条約違反、国内的には健康増進法違反という二重の背信を犯すことになります。

4. 結論:政府は早急にタクシーの全面禁煙化を実現する諸措置を講ずるべきです。


(注)
タバコ規制枠組み条約
 第8条 たばこの煙にさらされることからの保護
1. 締約国は、たばこの煙にさらされることが死亡、疾病及び障害を引き起こすことが科学的証拠により明白に証明されていることを認識する。
2. 締約国は、屋内の職場、公共の輸送機関、屋内の公共の場所及び適当な場合には他の公共の場所におけるたばこの煙にさらされることからの保護を定める効果的な立法上、執行上、行政上又は他の措置を国内法によって決定された既存の国の権限の範囲内で採択し及び実施し、並びに権限のある他の当局による当該措置の採択及び実施を積極的に促進する。

健康増進法第5章第二節 受動喫煙の防止
第25条
 学校,体育館,病院,劇場,観覧場,集会場,展示場,百貨店,事務所,官公庁施設,飲食店,その他の多数の者が利用する施設を管理する者は,これらを利用する者について,受動喫煙(室内またはこれに準ずる環境において,他人のたばこの煙を吸わされることをいう.)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない.

厚生労働省健康局長通達(2003年4月30日)
(健康増進法第25条の)「その他の施設」とは、鉄軌道駅、バスターミナル、航空旅客ターミナル、旅客船ターミナル、金融機関、美術館、博物館、社会福祉施設、商店、ホテル、旅館等の宿泊施設、屋外競技場、遊技場、娯楽施設等多数の者が利用する施設を含むものであり、同条の趣旨に鑑み、鉄軌道車両、バス及びタクシー車両、航空機、旅客船などについても「その他の施設」に含むものである。
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