2006年7月1日からのタバコ増税にあたっての日本禁煙学会の声明
−タバコ税を継続的に大幅に引き上げるべきである−
(財務大臣、厚生労働大臣、政府税制調査会、自民党税調、公明党税調宛てに送付)


2006年7月1日からのタバコ増税にあたっての
日本禁煙学会の声明

−タバコ税を継続的に大幅に引き上げるべきである−


2006年6月30日

日本禁煙学会
理事長  作田 學
181-8611三鷹市新川6-2-20
杏林大学神経内科教授室内
E-mail
FAX 0422-47-5931
URL:http://www.nosmoke55.jp/


7月1日より、3年ぶりにタバコが値上げされますが、本学会はこれを歓迎し、今後さらにタバコ税が大幅に引き上げられていくよう、関係機関に強く要請します。

【1】 わが国が批准し発効している「タバコの規制に関する世界保健機関枠組条約」(注)は、タバコ税の値上げが喫煙率、とりわけ、青少年の喫煙率の低下に極めて有効な措置であると述べています。


(注)「タバコの規制に関する世界保健機関枠組条約」(抜粋)
第三部 タバコの需要の減少に関する措置
第六条 タバコの需要を減少させるための価格及び課税に関する措置
1 締約国は、価格及び課税に関する措置が、様々な人々、特に年少者のタバコの消費を減少させることに関する効果的及び重要な手段であることを認識する。
2 各締約国は、課税政策を決定し及び確立する締約国の主権的権利を害されることなく、タバコの規制に関する自国の保健上の目的を考慮すべきであり、並びに、適当な場合には、措置を採択し又は維持すべきである。その措置には、次のことを含めることができる。
(a)タバコの消費の減少を目指す保健上の目的に寄与するため、タバコ製品に対する課税政策及び適当な場合には価格政策を実施すること。

【2】 タバコ税を大幅に引き上げていくことは
(1)国民の疾病予防と健康増進のための喫煙抑制と受動喫煙防止
(2)未成年者の喫煙防止効果と健康生活の育成、思春期と子育て支援
(3)健康寿命の延伸
(4)税収の増加
など、国民の健康福祉にとって効果と見返りの極めて大きな優れた施策です。
また、タバコ税を継続的かつ大幅に引き上げて得られた税収は、タバコ栽培農家の転業・転作、小売店の転業支援、タバコ対策基金、禁煙を軸とした健康推進やがん対策費用に優先的にまわすべきです。

【3】 タバコ税増税を含む喫煙対策をしっかり進めることは、以下に示すように、政府・与党ならびに国会の総意となっています。(太字は当学会,以下同じ)

1. 先の通常国会で成立した「がん対策基本法」(2007年4月1日施行)は、「第十二条 国及び地方公共団体は、喫煙、食生活、運動その他の生活習慣及び生活環境が健康に及ぼす影響に関する啓発及び知識の普及その他のがんの予防の推進のために必要な施策を講ずるものとする。」としており、附帯決議においても、「十九、がんをはじめとする生活習慣病の予防を推進するため… 喫煙が健康に及ぼす影響に関する啓発及び知識の普及を図るほか、喫煙者数の減少に向け、タバコに関するあらゆる健康増進策を総合的に実施すること」と唱っています。

2. 2005.12.1に政府・与党医療改革協議会で決定した医療制度改革大綱には以下が盛り込まれました。
U安心・信頼の医療の確保と予防の重視 (2)予防の重視
▽生活習慣病予防のための取り組み体制
喫煙等に関する目標を設定し、国民の生活習慣改善に向けた普及啓発を積極的に進め、効果的・効率的な健診・保健指導を義務づける」
▽がん予防の推進
禁煙支援などの生活習慣の改善を進める。タバコ税を引き上げるべきだとの意見は、税制改正全体の中で論議していく」

3. 平成18年度税制改正大綱・予算重要政策(2005/12/15)…自民党HP掲載の4ページに「現下の極めて厳しい財政事情に鑑み、公債発行を極力圧縮するとの観点から、タバコ税の税率を引き上げる」とあり、63ページの検討事項3に「近年、国際条約の発効や国民の健康増進の観点から、タバコ消費を積極的に抑制すべきとの指摘も出てくるなど、タバコをめぐる環境は変化しつつある。このような指摘は、財政物資というタバコの基本的性格に係わるものであることから、タバコに関するあらゆる健康増進策を総合的に検討した結果を受けて、タバコ税等のあり方について、必要に応じ、検討する。」とあります。

4. 2005.11.25の平成18年度の税制改正に関する答申で政府税調の答申に盛り込まれていない主な意見において「タバコの税金は低すぎる。大幅な税率引上げを検討すべき。」との意見が述べられ、今後の検討課題とされました。

5. 2006.6.16の税制調査会第47回総会・第56回基礎問題小委員会合同会議(6月16日開催)後の石会長記者会見http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/kaiken/b47kaiken.htm で、石会長は以下のように述べています。「それから、酒・タバコについては、今日はタバコだけ出てきましたが、やっぱりこれから高齢化になり健康維持といった点からの提言が色々出てくるのだと思います。タバコ・酒あたりについて、そういう視点から、単に税源確保というのではなくて、新しい考え方といったような、そういう切り口も今後必要になってこようかなと考えております。」


【4】 本年(2006年)4月より、禁煙治療(ニコチン依存症管理料)の保険適用が実施され、6月からはニコチンパッチの診療報酬算定が認められました。この算定医療機関も急速に増えつつあります。喫煙者をニコチン依存症から解放するためには、禁煙治療に加え、受動喫煙防止の徹底(禁煙場所の拡大)と並んで、タバコ税を上げることが、社会的禁煙支援(サポート)として不可欠です。

今後さらにタバコ税が段階的に大幅に引き上げられていくよう、関係機関に強く要請いたします。


以上