受動喫煙の害に関する日本禁煙学会の記者会見

【日 時】 2006年11月16日(木) 午後2時〜3時
【場 所】 日赤医療センター 第6会議室
【出席者】
日本禁煙学会 作田 学(理事長)
津田敏秀(理事/岡山大学大学院・環境疫学)
松崎道幸(理事/深川市立総合病院内科医長)
野上浩志(理事/NPO法人「子どもに無煙環境を」推進協議会理事)
渡辺文学(評議員/禁煙ジャーナル編集長)



緊 急 声 明



→ 「受動喫煙の害」を否定するJT・財務省・知識人に対する日本禁煙学会からの緊急声明





参考資料
週刊現代2006年12月9日号記事『「受動喫煙は子どもの発がん率下げる」はウソだった!』(PDFファイル)
週刊現代2006年12月9日号『「受動喫煙は子どもの発がん率下げる」はウソだった!』
(週刊現代より転載許諾済)


記者会見告知文
  このほど発売された『週刊ポスト』(11月17日号)誌で、大々的に受動喫煙の有害性を否定した特集記事が掲載されました。
 受動喫煙の健康影響に関する疫学調査は、強力なバックグラウンドノイズとリスクの過少評価をもたらす様々なバイアスに覆い隠されている真の関連を見つけだす作業であり、たった1件の研究結果だけで、関連の存在が否定されたり肯定されたりする浅薄なものではありません。
 受動喫煙が非喫煙者に肺ガンを起こすという知見は、多面的な証拠を総合して導き出された結論です。今年6月に出された米公衆衛生長官報告でも2100編を超える一流の論文を精緻に組み合わせた結論として、受動喫煙は今まさに防がなければならない害であると論じられています。
 すなわち、
1.能動喫煙と肺ガンの確固たる関連、
2.喫煙量には無発ガン閾値はないこと、
3.主流煙と質的に同じ発ガン物質が副流煙にも含まれていること、
4.生体マーカーの測定により発ガン成分が非喫煙者に侵入していることの証明、
5.環境タバコ煙がDNA損傷をもたらすこと、
6.動物において発ガン実験が成功していること、
7.疫学的関連の諸条件(成績の一致性・特異性・最高度曝露群での関連の存在・量反応関係など)が満たされていること、
などを総合的に評価した証拠の重み解析で、受動喫煙と肺ガンが確実な関連を持つと判断されるに至っております。
 以上を根拠として米EPAは、「環境タバコ煙」(受動喫煙)をヒトに対する発ガン性が証明されたA群発ガン物質(group A carcinogen)と認定しました。A群発ガン物質には、ベンゼン・アスベスト・ラドンなど十数種類の物質が含まれますが、一般の社会生活レベルの曝露でガンのリスクが明らかに増加することが証明された発ガン物質は「環境タバコ煙」以外にありません。

 JTやフィリップ・モリス社は、これらのバックグラウンドを熟知しながら、意図的に都合の良い論文だけを繰り返し取り上げてきました。また、今回、岐阜大学精神科の高岡助教授が『週刊ポスト』紙上で科学的に誤ったことを述べた結果、受動喫煙の問題について国民の間に誤解が拡がる懸念があります。

 日本禁煙学会では、この問題の重大性に鑑みて、この分野の専門家により、真実を記者会見で早急にお知らせすることとなりました。なお、この種の記者会見は初めてのケースとなります。

→ 資料:受動喫煙と肺ガンに関する最近の知見−WHOが間接喫煙のリスクを否定したという誤報を正す−
深川市立総合病院内科 松崎道幸(脱稿1998年2月26日)