2010年3月23日
内閣府行政刷新会議「独立行政法人及び政府関連公益法人の事業仕分けのための意見募集」に日本禁煙学会から提出した意見


政府関連公益法人の徹底的な見直しについての意見


提案事項名:  財団法人喫煙科学研究財団は即刻解散させるべきです
政府関連公益法人の名称:  財団法人喫煙科学研究財団
対象となる事務・事業名:  喫煙に関する科学的調査研究の助成等の事業
提案の具体的内容:  日本たばこ産業(JT)からの寄付金で運営されている財団法人喫煙科学研究財団(以下喫煙科学研究財団と略)は、国民の生命と財産を奪っているタバコの害を否定する研究を助成し、タバコ産業の発展を支援しており、国際条約であるタバコ規制枠組み条約(FCTC)に違反しているので即刻解散を命ずべきです。
提案理由:  タバコはタバコの使用者のみならず周囲の人々に対しても癌、循環器疾患、呼吸器疾患などの様々な疾患を生ぜしめ、国民の生命、健康、財産に大きな損失をもたらしています。タバコによる「健康、社会、環境及び経済に及ぼす破壊的な影響」から人々を保護するために、タバコ規制枠組み条約(FCTC)が締結され、2005年2月に発効しました。
FCTCの第13条では、あらゆるタバコの広告、販売促進、スポンサー活動を包括的に禁止するように求められています。第13条ガイドラインには、寄付行為は、タバコ製品とタバコ使用を直接的あるいは間接的に促進奨励するという目的、効果あるいはそれらをもたらすおそれがあるので禁止すべきであると明記されています。したがって日本たばこ産業(JT)の喫煙科学研究財団に対する寄付行為は、このガイドラインに抵触すると考えられます。
喫煙科学研究財団はJTの株式の50%を保有する財務省管轄の団体であり、JTからの寄付により助成を行なっているJTとは表裏一体の組織です。喫煙科学研究財団の助成による研究は、現在科学界で重大な問題になっている利害相反(利益相反)を引き起こす恐れがあります。事実、医学研究者への助成による研究報告でタバコの有害性と受動喫煙被害を否定あるいは曖昧にすることにより、国民の生命、健康、財産に大きな損失を与え、国際的にも批判を浴びています。また、喫煙科学研究財団の活動を黙認することは、タバコという危険な商品を売り続けているJTに社会的信用と存在意義を与えることになります。
政府のタバコ政策が大きく転換した今、タバコの使用を追認し、JTを補完し、FCTCに違反する喫煙科学研究財団を、国際条約を誠実に遵守するためにも一刻も早く解散されるよう要望します。