2011年7月7日

LARKのタバコ広告はFCTC違反だけでなく、タバコ広告指針にも違反しています
(申し入れ)

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フィリップモリスジャパン 御中
日本たばこ協会 御中
日本新聞協会・新聞各社 御中
日本雑誌協会 御中
財務大臣 野田佳彦 様
厚生労働大臣 細川律夫 様
NPO法人 日本禁煙学会 理事長 作田 学
〒162-0063 東京都新宿区市谷薬王寺町30-5-201

FAX 0422-47-5931
http://www.nosmoke55.jp/


LARKのタバコ広告はFCTC違反だけでなく、タバコ広告指針にも違反しています(申し入れ)


 最近(2011年6〜7月)、フィリップモリス社のタバコ「LARK」の派手なカラー広告が、新聞、雑誌、電飾、タバコ自販機等に頻繁に掲載・貼付されております。

「物語のある人生を−誰かのために生き抜く男たちへ。…男たちの最高の相棒として、いつも、男たちのそばで。」などのコピーで、そこには、あたかも「男たちの人生において、タバコはなくてはならない大切なもの」などの事実無根のコピーが添えられています。また、「ラーク厳選アイテムが当たる!」という、販売促進キャンペーンが紹介され、実際に展開されています。

 日本でのタバコ需要が、東日本大震災の影響を受けている時期に合わせるかのような新たなタバコ顧客の獲得拡大をはかる派手な広告・販売促進は、タバコ規制枠組条約(FCTC)に違反しているだけでなく、たばこ事業法第40条で規定された「製造たばこに係る広告を行う際の指針」(2004年3月8日財務省告示第109号)にすら違反しているので、強く抗議し、

1. フィリップモリス社にあっては、即刻このような広告・販売促進の中止を求めます。
2. 日本たばこ協会にあっては、これらが協会の広告などの自主規準にも違反していることから、たばこ事業法第40条二の指針違反を確認し、同社に広告中止をさせることを求めます。

3. 広告媒体協会・各社にあっては、即刻このような広告・販売促進を中止することを求め、かつ今後タバコ広告を載せないことを求めます。
4. 財務省にあっては、たばこ事業法第40条二による「製造たばこに係る広告を行う際の指針」違反による広告中止命令を発出することを求めます。
5. かつ、国・財務省・厚生労働省として、FCTC第13条とそのガイドラインに則り、タバコの広告・販売促進・スポンサーシップを禁止することを求めます。(たばこ事業法の改廃も視野に入れた上で)
【理由】
A. 2005年2月に発効した世界保健機関(WHO)タバコ規制枠組条約(FCTC)の第13条には、
http://www.nosmoke55.jp/action/fctcpocketbook.html 
タバコの広告、販売促進、スポンサーシップの制限、禁止が定められています。締約国の義務として、自国の憲法または憲法上の原則(日本の場合は憲法第98条の2「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」)に従い、
・虚偽の、誤認させる若しくは詐欺的な手段またはタバコ製品の特性、健康への影響、危険若しくは排出物について誤った印象を生ずるおそれのある手段を用いることによってタバコ製品の販売を促進するあらゆる形態のタバコの広告、販売促進及びスポンサーシップを禁止すること。
・ラジオ、テレビジョン、印刷媒体及び適当な場合には他の媒体(例えば、インターネット)におけるタバコの広告、販売促進及びスポンサーシップについて、5年以内(2010年2月まで)に、包括的な禁止を行い、または自国の憲法若しくは憲法上の原則のために包括的な禁止を行う状況にない締約国の場合には、制限すること。

(2008年11月、南アフリカ・ダーバンでCOP3(第三回締約国会議)ガイドライン)
タバコ宣伝、販売促進、スポンサー行為の包括的禁止には以下の事項を含む:
・すべての宣伝、販売促進、ならびにスポンサー行為。例外は認めない。
・直接的ならびに間接的な宣伝、販売促進、スポンサー活動。
・販売促進を目的とした行為、ならびに販売促進効果をもたらすあるいはそのおそれのある行為。
・タバコ製品ならびにタバコ使用行為の奨励。
などを挙げています。

B. 「製造たばこに係る広告を行う際の指針」(2004年3月8日財務省告示第109号)には、
http://www.mof.go.jp/tab_salt/tobacco/koukoku20040308.pdf 
(たばこ事業法第40条二:財務大臣は…製造たばこに係る広告を行う者に対し、当該広告を行う際の指針を示すことができる。)
(1) 一 全体的指針
「たばこ広告を行う際には、未成年者の喫煙防止に十分配慮し、広告が過度にわたり幅広く積極的に喫煙を勧めることのないよう留意しなければならない。」「未成年者の喫煙防止の必要性を十分勘案した上で広告場所を選ぶなど、広告方法に配慮すること。」「幅広く積極的に喫煙を勧めるような広告内容や広告方法等を避けること。」 
(2) 二 媒体等広告方法別の指針
「(2) 新聞紙及び雑誌その他の刊行物におけるたばこ広告→主として成人の読者を対象としたものに行うこととし、その場合においても、日刊新聞紙については、その影響力に鑑み、広告方法等に配慮すること。(3) はり札、看板及び建物その他の工作物等(電車及び自動車の車両等を含む。)に掲出され又は表示されるたばこ広告→たばこの販売場所及び喫煙所において行う場合を除き、公共性の高い場所では行わないこと。」

と規定されていますが、今回の、新聞、雑誌、電飾、タバコ自販機等に頻繁に掲載されている「LARK広告」は、これらにことごとく違反しています。

 「LARK」の広告・販売促進は、上記のように、明らかにFCTC第13条及びこのガイドラインに違反するものであり、FCTCの発効(2005年2月)以前に規定された、たばこ事業法第40条二による「製造たばこに係る広告を行う際の指針」(2004年3月8日財務省告示第109号)にすら違反しており、とうてい看過できるものではありません。
このような公共性の高い種々の媒体を通して、事実無根なコピーと画像で、未成年者を含む多くの国民に喫煙することを誘うタバコ広告・販売促進は排除し、タバコによる深刻な健康被害から人々を守るための国際条約を遵守することを、ここに強く申し入れます。

※この申し入れ(要請)は、フィリップモリスジャパン、日本たばこ協会、日本新聞協会・主要新聞社、日本雑誌協会、財務大臣、厚生労働大臣にお送りしました。
※この回答を本年8月10日までに文書でいただけるよう、よろしくお願いします。
以上