2011年9月20日掲載 2011年9月26日更新

平成24年度財務省:税制改正要望ヒアリング 2011年9月20日 13:30〜14:15

NPO法人日本禁煙学会は平成24年度財務省:税制改正要望ヒアリングに3名が出席して、提案・要望を行いました。


● 平成24年度財務省税制改正要望に関する団体ヒアリングの概要
出席者
 財務省側

  藤田幸久財務副大臣(参院、茨城選挙区)
  大臣官房審議官の山越さん
  大臣官房政策推進室長の児玉さん(議事進行)
  たばこ塩事業室長の矢花さん

 増税反対団体側(タバコ産業・耕作関係者)
  (1)JT 志水副社長ら
  (2)全日本.たばこ産業労働組合から委員長ら
  (3)フィリップ・モリス・ジャパン(株)から社長ら
  (4)ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン合同会社(BAT)からは執行役員ら
  (5)全国たばこ耕作組合中央会からは専務ら

 増税賛成団体側
  NPO法人 日本禁煙学会 作田理事長、岡本理事、野上理事

発言要旨
(1)のJTは
→増税は「慎重なバランスを、慎重な検討が必要、不正取引の温床になる」との発言で http://www.jti.co.jp/news/tax_system/20110708/index.html と少しニュアンスが違って「絶対反対」との強い主張は抑え気味だった。私たちを少しは意識したのか?

(2)のたばこ労組は
→「税上げ反対、公平性に欠ける、税増収にはならない」と税制改正大綱の趣旨と税増収の実績に目をふさいでいる無知が露わに。

(3)のフィリップ・モリスは
→「増税反対、日本は低い水準でない、予測可能な増税を、他国に学ぶべきで違法タバコが増える、税増収なしに販売本数のみ下がった」とこれも税制改正大綱の趣旨と税増収の実績を直視しようとしない無知と、不正取引を口実に税上げを阻む意図が露わに。

(4)のBATは
→「増税は5年で徐々に、不正取引となる、タバコ価格は届出制にすべき」と、これもフィリップ・モリスと同様な有様。
(「増税は5年で徐々に」と言うくらいなら、この十数年徐々にでも増税すべきであったのに絶対反対を貫き、微増上げにとどまってきた責任をどう考えるのか?)

(5)の耕作組合は
→「絶対反対、タバコ廃作で厳しい状況、税増収は期待できない、JT株の国保有は維持して欲しい」と、これも国内外のタバコ・葉タバコの激変に対応できない組合と保護への一縷の望み、税増収の実績から目をそらしている。


日本禁煙学会側は、理路整然と、タバコ税上げの必要性、転業・転作予算への充当、FCTCガイドラインの誠実な実行、タバコの主管官庁を厚労省に、たばこ事業法の廃止と新たなタバコ規正法の制定、このヒアリングでの増税賛成の時間は反対派と同じ時間を割り振るべき、などを限られた時間で発表しました。(下記要旨参照)


藤田副大臣が質問として
「日本禁煙学会は、タバコの販売本数は毎年漸減していて、タバコ増税で販売本数はかなり減るものの、税上げで、税収だけでなく、販売側収益は増えているデータをお示しになりましたが、タバコ会社側はどうお考えですか?」
と誠に的を得た質問を投げかけました。

JT側は、「税上げだけでなく、それを上回る価格設定を認めていただいているので……」と、歯切れの悪い聞き取りにくい回答(認めたくないような)。JT以外は発言せず、沈黙…



※タバコの販売本数は毎年漸減していて、税収減、販売側収益の漸減は必至であって、増税して、それを上回る値上げがあるからこそ、販売側収益が増える実績がある。
その実態を意図的に隠し、「タバコ増税反対」を打ち上げ、自らの首を絞めて行っている無責任なタバコ産業・販売・耕作者たち… これら関係業界をミスリードしていっている誤りと罪深さ…
FCTC(タバコ規制枠組条約)とガイドラインの遵守を妨害し、受動喫煙の危害を否定し、国民の健康を損ない、国益に反することをどこまで進めようとするのだろうか。


(概要文責 NPO日本禁煙学会 理事 野上浩志  2011.9.20)





● 日本禁煙学会代表3名の要望・提案要旨
作田学
日本禁煙学会理事長
杏林大学第1内科客員教授・前主任教授
岡本光樹
日本禁煙学会理事・弁護士
受動喫煙の相談に応じる弁護士
野上浩志
日本禁煙学会理事
NPO法人子どもに無煙環境を推進協議会 理事
【要望・提案の要旨】
タバコ規制枠組条約は、喫煙率を下げる有効かつ重要な手段としてタバコ税を上げることを要請しています。我が国のタバコ価格は依然として先進国中の最低水準であり、オーストラリア1400円、インドなどの発展途上国と平価水準を合わせて比較しても遙かに低いのであります。
タバコ価格は増税だけによって100円ずつあげ、将来的に一箱1000円とするべきです。
税収増となる分は超過医療費の補給、葉タバコ農家の転作資金等に充てるべきと考えます。

また、ガイドラインは、コンセンサス方式で採択された文書です。
したがって、FCTC条約は、FCTC ガイドラインにより、かつその趣旨及び目的に照らして、与えられる用語の通常の意味に従い、誠実に解釈し、履行するものであります。
これを実行しないことはウイーン条約31条、ならびに憲法98条違反であります。

第5条3項:公衆衛生の政策をタバコ産業の商業的利益から守ること。
第8条:5年以内に職場・公共交通・公共の場所などで人々をタバコの煙から保護すること。
第11条:3年以内に明瞭で効果的な健康警告を表示すること。
第13条:5年以内にタバコの広告、販売促進・スポンサーシップの制限・禁止をすること。
 は、タバコ管轄官庁として責任を持って、直ちに行うべきであります。

資料(1)
平成24年税制改正ヒアリング資料  (1)




要旨
(1)タバコ規制枠組条約(FCTC)では、様々な人々、とくに年少者のタバコの消費を減少させる事に関する効果的ならびに重要な手段としている。 世界銀行は、世界銀行の推奨する方策(段階的に税を上げる)を行ってきた国ではタバコの消費を抑えることに成功しており、これはたとえば、タイ、韓国、オーストラリアとシンガポールに見て取れるという。  我が国のタバコ価格は依然として先進国中の最低水準であり、インドなどの発展途上国と平価水準を合わせて比較しても遙かに低い。  将来的には一箱1000円とするべきである。価格上昇は税だけで行うべきであり、増税となる分は超過医療費の補給、葉タバコ農家の転作、小売業者の転業への助成金とするべきである。 (2)ガ イドラインは法的拘束力のない法的文書であるが、コンセンサス方式により採択された、an instrument related to the treaty である。ということは「FCTC条約は、FCTC ガイドラインにより、かつその趣旨及び目的に照らして、与えられる用語の通常の意味に従い、誠実に解釈し、履行するものである。」これを実行しないことはウィーン条約31条ならびに日本国憲法98条違反である。  実際には、第5条3項、第8条、第9・10条、第11条、第12条、第13条、第14条のガイドラインがあり、とくに受動喫煙防止、宣伝・広告の禁止は条例や自主規制ではなく、法律で禁止するべきである。

(1) 私たちはタバコ一箱1000円を求めます。
日本も批准しているタバコ規制枠組条約(FCTC)はその第6条で「タバコの需要を減らすために価格と税を上げること」を全般的な義務としています。
「締約国は、価格および課税に関する措置が、様々な人々、とくに年少者のタバコの消費を減少させることに関する効果的および重要な手段であることを認識する。」とうたっております。
 そして第6条ではさらに、
各締約国は、課税政策を決定し、および確立する締約国の主権的権利を害されることなく、タバコの規制に関する自国の保健上の目的を考慮すべきであり、ならびに、適当な場合には、措置を採択しまたは維持すべきである。その措置には次のことを含めることができる。
1. タバコの消費の減少をめざす保健上の目的に寄与するため、タバコ製品に対する課税政策および適当な場合には価格政策を実施すること。
2. 適当な場合には、免税のタバコ製品について一の国から他の国に移動するものに対する販売または当該者による輸入を禁止しまたは制限すること。
3. 締約国は、締約国会議に対する定期的な報告においてタバコ製品の税率およびタバコの消費の動向をしめす。(FCTC第6条)
としています。

世界銀行は次のように指摘しています。
 世界銀行の推奨する方策を行ってきた国ではタバコの消費を抑えることに成功している。これはたとえば、タイ、韓国、オーストラリアとシンガポールに見て取れる。
 締約国は世界銀行の推奨する方策を見直すべきである。これによって、政府の歳入を増加し、同時に喫煙率を低下し、保健にかかるコストを減額できる。
 すべての国は、税額を少なくとも小売りの値段の70%を超えることを目標とするべきである。とくに50%以下の国にとってはそうである。
 タバコ会社と税額を最低限とする約束をしている締約国は、FCTCを実行するにあたり、妥協せざるを得なくなっている。それゆえに、現在の状況を改善するべく新しい立法によって、装いを新たにする必要がある。
 一般的に認められていることに、小売価格を10%上げると、全体的にタバコの消費が3.5%減り、若者の喫煙者を3.5%減らし、子どもの喫煙者を6~7%減らすことになる。

(2)ガイドラインを遵守すべき事
「ガイドラインは拘束力がない。だから守らなくても良い。」と言うことがあたかも当然の事のように言われています。今はなくなりましたが、厚労省のホームページにも前半部が挙げてありました。昨年12月の財務省の財政制度等審議会たばこ事業等分科会の議事録・資料には依然として載っています。
 これは国民に対して真っ赤な嘘をついています。

1. 「ガイドラインには法的拘束力がない」は正しいか?
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かつて厚労省の締約国会議結果の概要(例えば以下など)には、「ガイドラインには法的拘束力がない」などの但し書きが掲載されていました。
http://www.mhlw.go.jp/topics/tobacco/jouyaku/071107-1.html 

「法的拘束力がない」という言葉は non-binding instrumentsという言葉にから来ています。例えば、以下のように使われています。

To create working groups that will begin development of protocols (legally binding instruments) in the areas of cross-border advertising and illicit trade. To help countries establish smoke-free places and effective ways of regulating tobacco products, Parties agreed to develop guidelines (non-binding instruments).

議定書(protocols)は、binding instruments であるけれども、ガイドライン(guidelines)は、non-binding instrumentsであると。しかし両者ともinstruments(=legal documents 法的文書)であることには変わりない。しかし前者は法的拘束力があり(=legally bindingであり)、後者には法的拘束力はない(=non-bindingである)。

ですから「ガイドラインには法的拘束力がない」は、正しくは「ガイドラインは法的拘束力のない法的文書である」(つまりnon-bindinginstruments)が正しい。一見、些細な違いの様に見えますが、実はまったく違うものです。前者ではガイドラインの身元がはっきりしませんが、後者でははっきりします。non-bindingではあっても、instruments であります。
さらに条約、議定書、宣言、決議、ガイドライン は、以下に2分されます。
binding instruments
条約、議定書
non-binding instruments
宣言、決議、ガイドライン

2.なぜガイドラインを誠実に実行しなければならないか。
 
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「条約は誠実に解釈し履行しなければならない」は、条約法に関するウィーン条約(日本国において昭和56年8月1日効力発生)の第26条(履行)、第31条1(解釈)に規定されています。
 第31条1(解釈)を具体的に読むと「条約は、文脈によりかつその趣旨及び目的に照らして与えられる用語の通常の意味に従い、誠実に解釈するものとする。」とあります。
 さらに第31条2には「条約の解釈上、文脈というときは、条約文(前文及び附属書を含む。)のほかに、次のものを含める。」とあります。
(a) 条約の締結に関連してすべての当事国の間でされた条約の 関係合意。
(b) 条約の締結に関連して当事国の一または二以上が作成した文書であってこれらの
当事国以外の当事国が条約の関係文書として認めたもの。

ここで本条約の該当部分の英文を参照すると
(a) 関係合意→any agreement、
(b) 文書→any instrument 、
(c) 条約の関係文書→an instrument related to the treatyとなります。

(英文)
Article 31
General rule of interpretation

1. A treaty shall be interpreted in good faith in accordance with the ordinary meaning to be given to the terms of the treaty in their context and in the light of its object and purpose.

2. The context for the purpose of the interpretation of a treaty shall comprise, in addition to the text, including its preamble and annexes:

(a) any agreement relating to the treaty which was made between all the parties in connection with the conclusion of the treaty;

(b) any instrument which was made by one or more parties in connection with the conclusion of the treaty and accepted by the other parties as an instrument related to the treaty.

FCTCガイドライン自体は、non-bindingであるけれど、コンセンサス方式により採択された、an instrument related to the treaty です。ということは解釈として「FCTC条約は、FCTC ガイドラインにより、かつその趣旨及び目的に照らして、与えられる用語の通常の意味に従い、誠実に解釈し、履行するものとする」 ということになります。

ですから、たとえばFCTCガイドライン第8条で明確に否定されている工学的解決策(=分煙策=喫煙室設置)を進めることは、FCTC条約 を誠実に解釈し、履行していないということになります。ウィーン条約に違反しているのです。
さらに広告・宣伝の法的規制をかけようとせずに、条約批准後6年経っても自主規制だけで済ませていることも明確に違反しています。

さらに日本国憲法第98条2は「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」とあるのですから、日本国憲法にも抵触する行為になります。

以上みてきたように、FCTCガイドラインは、決して「ガイドラインには法的拘束力がない」などという矮小化された文言で片付けられる存在ではないのです。
 付記: さらに解釈の補足的な手段として、条約法に関するウィーン条約第32条に規定があります。
参照URL
条約法に関するウィーン条約(和文)→
http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/~worldjpn/documents/texts/
mt/19690523.T1J.html

同(英文)→ http://untreaty.un.org/ilc/texts/instruments/english/
conventions/1_1_1969.pdf


3.守るべきガイドラインは何か。
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 したがいまして、ガイドラインは8条以外にも5条3項(公衆衛生の政策をタバコ産業から守る)、11条(タバコの包装およびラベル)、12条(教育)、13条(広告・宣伝の禁止)、14条(依存症の治療)、9・10条(成分の規制と情報開示)についても誠実に解釈し、実行しなければ、ウィーン条約ならびに憲法にも違反する行為となります。ただタバコ産業の自主規制に任せておくわけには絶対にいかないのです。タバコは財務省が主管官庁であると言うのなら、これらの一連の違反行為を直ちに止めさせるべきでしょう。

参考:FCTCポケットブック



【要望・提案の要旨】
<総論>
『平成22年度税制改正大綱』及び『平成23年度税制改正大綱』において、国民の健康の観点から、たばこの消費を抑制するため、たばこ税の税率を引き上げていく必要があること、現行のたばこ事業法を改廃する必要があることが明記されました。このことは高く評価すべきものと考えております。当学会は、この内容も踏まえ、昨年のヒアリングにおいて述べた内容に加えて、以下、要望とその理由を述べます。

<要望の趣旨>
次の5点を要望いたします。これらの政策方針は、平成24年度税制改正大綱においても、是非、明記して頂きたいと考えます。
1. タバコ税を大幅に引き上げ、一箱1000円以上とする。
2. タバコ税による税収を、タバコによる超過医療費の補填禁煙支援・禁煙治療・禁煙啓発受動喫煙防止環境の整備禁煙教育未成年者の喫煙開始防止薬物依存対策・治療など、喫煙対策関連予算に充当する。
3. タバコ税による税収を葉タバコ農家の転作支援およびタバコ小売業者の転業支援に充当する。
4. 今後のタバコ法制の新たな枠組みの構築として、たばこ事業法第1条を早急に廃止し、国民の健康の観点から喫煙を減少させる旨を法律上明記する
5. 今後のタバコ法制の新たな枠組みの構築として、タバコ規制を厚生労働省に管轄させる法律を制定する



→要望・提案の詳細はこちら(PDF445KB)
→添付資料「タバコ規制4法案制定の請願および受動喫煙防止法制定の請願」はこちら(PDF212KB)


【要望・提案の要旨】
1.2010年10月のタバコ税上げ・値上げ(1箱約110円)の実績結果として
 (1)タバコの販売本数は減る(16-19%減)
 (2)しかしタバコ販売額・税抜き売上げともに減らずに増える(販売側収益は増える)(10-15%増)
 (3)タバコ税収も減らずに増える(国税、地方税ともに)(タバコ国税は約25%増)
 (4)従って、
税制改正大綱の記述「たばこ税については、国民の健康の観点から、たばこの消費を抑制するため、将来に向かって、税率を引き上げていく必要があります。」の正しさが実証されている
※以上より、
毎年にでも引き上げ、1箱千円タバコにするのが、喫煙者の健康にとっても、国民の健康にとっても、タバコ産業・販売・耕作関係者にとっても、財政的にも、公益となる正しい施策選択である〜

2.「1969年の条約法に関するウィーン協定第26条」では「発効せるすべての条約は締約国に遵守義務を課している。締約国は条約を誠実に遵守しなければならない」と述べられており、かつ「日本国憲法 第10章 最高法規 第98条 2 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」条文からも、タバコ規制枠組条約(FCTC)とガイドラインの早急な遵守が必須です。
しかるに
「FCTCのガイドラインには法的拘束力がない」は厚労省HPからは削除されましたが、財務省の財政制度等審議会たばこ事業等分科会の議事録・資料には載っていて、これらの削除とタバコ規制政策の基本的転換が必要です。

3.平成22年度及び平成23年度税制改正大綱で「たばこ法制について、現行のたばこ事業法を改廃し、たばこ事業のあり方について、たばこ関係者の生活や事業の将来像を見据えて、新たな枠組みの構築を目指すこととします」とされていますので、
「たばこ事業法」を撤廃し、包括的な“タバコ法制(タバコ規制法)”を策定すべきです

4.
財務省の2002年10月の財政制度等審議会たばこ事業等分科会「喫煙と健康の問題等に関する中間報告」の廃止が喫緊です(日本の現状と国際的動向から既に乖離すること甚だしい9年前の中間報告を未だにタバコ施策の拠り所にしている)。

5.
受動喫煙の健康危害を未だに頑迷に否定しているJTの是正指導が喫緊です

6.タバコの基本施策の早期の転換、及びタバコ関連産業の転業・転作などの大胆な転換を早期に進めない限りタバコ関連産業の自然消滅は必至です。


→要望・提案の詳細はこちら(PDF208KB)