2013年8月13日

平成26年度 税制改正要望に関する要望・提案について
財務省大臣官房総合政策課政策推進室税制改正要望担当 および 総務省大臣官房企画課税制改正要望担当宛てに提出しました
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提出者名 NPO法人日本禁煙学会、「子どもに無煙環境を」推進協議会
題目 タバコ税率の段階的な大幅引き上げ(1箱千円タバコに向け)、及びタバコ対策費への充当、たばこ事業法の改廃、及びタバコ規制法の制定
【意見の内容】
@)種別 @新しい税制措置に係るもの
○A既存の税制措置の拡充や延長に係るもの
※どちらかに○印を付してください。
A)税目 @国税   (税目:  タバコ税      )
A地方税  (税目:  地方タバコ税    )
B)関係法律条項 たばこ事業法、たばこ税法第11条、地方税法第74条の5、第468条、タバコ規制枠組条約、がん対策基本法のがん対策推進基本計画(2012/6/8閣議決定)、健康増進法の第二次健康日本21厚生労働大臣告示( 2012/7/10 厚生労働省第 430 号)「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」
C)意見の詳細 1.平成22年(2010年)度税制改正では「たばこ税については、国民の健康の観点から、たばこの消費を抑制するため、将来に向かって、税率を引き上げていく必要があります。その判断にあたっては、たばこの消費や税収、葉たばこ農家、小売店、製造者等に及ぼす影響等を見極めつつ行っていくこととします。」との趣旨で、2010年10月から1本あたり3.5 円の税率引上げ、1箱110円程度の引き上げとなりました。
2.この税率上げの結果を、値上げ前の2009年度と2012年度の比較で見てみると
(1)タバコ販売本数は、2,339→1,951億本(388億本減、-16.6%)で、タバコの消費を抑制する効果があった。
(2)タバコの販売代金(税込み)は、35,460→40,465億円(5,005億円増、+14.1%)で、この内容を解析してみると、
(3)税収全体(国と地方タバコ税+タバコ特別税+消費税)は、21,979→25,441億円(3,462億円増、+15.7%)で、3年間の累計は8,157億円増となっている。
(4)一方で、税引きのタバコ純販売額(業界の収入)は、13,481→15,024億円(1,543億円増、+11.4%)で、3年間の累計は3,170億円増となっている。
3.大幅にタバコの税率を引き上げることにより(約40%)、タバコの消費が抑制される(十数%減)ことが実証された訳で、国民の健康増進施策として優れていたことになる。
4.また大幅な引き上げで、結果として税収も、税引きタバコ純販売額(業界の収入)も大幅に増えた(十数%〜十%増)ことが示された。このことは、上の1項で引用した「影響等を見極めつつ」がプラスの方向であった(税率上げを進めても短期中期的にはダメージとはならない)と言えるのではないだろうか。
5.長期的に喫煙率の減少が続いていくことはタバコ業界がどんなに抗っても止まらない趨勢で、税収や業界の収入も徐々に漸減していくであろうが、定期的に大幅に税率を上げていく(例えば1本10円)ことが、国民の健康増進と医療費削減施策となるだけでなく、結果として、タバコ税収増と業界の収入増になることは間違いない。そしてそれら税収と業界の増収益を、タバコ業界の転業・転作支援やタバコ病対策費(喫煙者の禁煙促進、未成年者・妊産婦の喫煙防止と禁煙支援、受動喫煙防止、がん対策とタバコの健康対策費(禁煙教育や啓発等)への充当)などに大胆に充てていく施策への早期の転換が望まれている(手遅れにならないうちに;残されている時間はそう長くはない)。
(参考までに:FCTC第17条 経済的に実行可能な代替の活動に対する支援の提供締約国は、相互に並びに権限のある国際的及び地域的な政府間機関と協力して、適当な場合には、タバコの労働者及び耕作者並びに場合に応じ個々の販売業者のために経済的に実行可能な代替の活動を促進する。)
6.JTによる喫煙率の調査での年代別喫煙率の年推移によれば http://www.eonet.ne.jp/~tobaccofree/jihankisuii.htm#otoko 、20歳代の喫煙率が、男女共に、30〜40〜50歳代よりも一段と低くなってきていて(男女共にここ数年;2013年で男で30〜40歳代より約10ポイント、女で約3-4ポイント)、とりわけ2010年10月にタバコ税率が引き上げられ、2010年→2013年に、20歳代で、男38.3→29.9(8.4%減)、女15.1→11.1(4.0%減)と他の年代よりも倍前後の減少となっているのは、税率上げの効果もあったものと思われるが、要は5項にも述べたように、特に若い世代のタバコ離れは止めようがない趨勢であって、下記を含めた早期のタバコ業界の転業・転作支援や抜本的なタバコ対策への大胆な政策転換が必須です。
7.国民の健康を重視したタバコ行政を日本政府として抜本的に進め、かつタバコ規制枠組条約を遵守するため、「たばこ事業法」の改廃を進め、包括的な“たばこ法制(たばこ規制法)”の策定が必要とされています。それとともに2012/6/8に閣議決定された「がん対策推進基本計画」、及び2012/7/10の厚生労働大臣告示「健康日本21計画」の喫煙率の低減目標や受動喫煙防止のゼロ目標等の実現にリンク連動させたタバコ税率上げの政策・施策が必須です。
D)措置を必要とする期間 数年〜10年程度
E)理由(必要性・妥当性) 意見の詳細 に記載していますが、タバコ税率の大幅な引き上げにより、タバコ消費量は減って国民の健康増進がはかられるが、結果として税収と業界の収入は反って増えることが2010年10月の引き上げによる3年間の累積データで実証されており、かように喫煙者と消費量は減り、国民の健康増進と医療費の削減につながります。
F)効果(期待される効果・税収の減収見込額)  これらの施策により、喫煙者の禁煙サポート、未成年の喫煙防止、妊産婦の禁煙促進、受動喫煙防止のゼロ目標の達成につながり、かつ税収は増え、がん対策推進基本計画や第二次健康日本21の目標の財源に充て、またタバコ関連産業の転業・転作などにも充てることが出来ます。タバコによる被害(火事、病気)の減少も期待され、国民の健康増進や健康寿命の延伸などにより豊かな国民生活を招来することになります。タバコ規制枠組条約が遵守されるステップとなり、国際的に大幅に遅れているタバコ対策の国際的責務を果たせることにつながります。
 2010年10月からの1箱平均110円の税・値上げ(40%弱)で、2009年度に比べ、2012年度のタバコの販売本数は十数%減、しかし税収は十数%増(3年間の累計で8,157億円増)、タバコ業界の収入は十%増以上(3年間の累計で3,170億円増)の実績がある。短期中期的には税収が減収になることはない。
G)その他参考となる事項 参考資料
1.タバコの税率上げによる、タバコ販売本数と販売額及び税収等の推移図、税収増及び販売収益増の実証データ
http://www.eonet.ne.jp/~tobaccofree/jihankisuii.htm#honsu
http://www.eonet.ne.jp/~tobaccofree/jihankisuii.htm#daikin
http://www.eonet.ne.jp/~tobaccofree/jihankisuii.htm#2012
2.平成25年度財務省税制改正要望ヒアリングで要望・提案
http://www.eonet.ne.jp/~tobaccofree/zaimuhearing120829.pdf
※なお、タバコ業界もタバコ税率上げに反対はしていない(賛成している)ことは、上記のヒアリングでも述べていました。業界の収入増になることが実証された訳ですから。