2012年12月24日

2013年度税制改正大綱に対するタバコ税率大幅引き上げの要望
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自由民主党 税制調査会 御中
公明党 税制調査会 御中
NPO法人 日本禁煙学会
理事長  作田 学
〒162-0063東京都新宿区市谷薬王寺町30-5-201
Tel 03-5360-8233 
http://www.nosmoke55.jp/
謹啓
 2013年度の税制改正大綱に標記の「タバコ税率の大幅な引き上げ」を盛り込んでいただくよう、ご高配をよろしくお願い申しあげます。
 私たちの団体は、非喫煙者の健康をタバコの危害から守るための啓発と禁煙推進事業、また喫煙者の禁煙支援とサポートを全国的に行っているNPOの学術団体です。
 今年8月29日に、財務省の税制改正要望ヒアリングが行われ、本会は後記の参考資料の意見を申し述べましたが、それらを再掲し、以下のお願いをするものです。



  1. 2010年10月からの1箱110円程度のタバコ税率と価格の引き上げにより、2011年度の税収、及びタバコ関連業界の販売収益は、前年度に比べ、14~15%増えたことが公表されています(財務省及び総務省公表データによる)。
    従って、国民の健康の観点から、タバコの消費を抑制するため、将来に向かって、タバコ税率を大幅に引き上げていく施策は、正しい施策です。日本が2004年に批准したWHO-FCTC(タバコ規制枠組条約)もこの早期の実現を求めているところです。

  2. タバコ税率上げによる税収の一部を、タバコ耕作の転作支援やタバコ販売店の転業支援、喫煙者の禁煙促進・支援、未成年者・妊産婦の喫煙防止、受動喫煙防止、がん対策やタバコの健康対策費、国民医療費への充当等に充てる施策が我が国でも求められています。
      また中長期的にも、タバコ税率上げを含むタバコ対策の諸施策により、国民医療費や社会的損失も減り、国民の健康寿命と健康増進により、社会福祉の増進が進むことは周知の事実です。

  3. タバコ税率と価格の引き上げがあればこそ、タバコ製造・販売・耕作側も収益が増え、税収も増えている事実をタバコ業界は意図的に隠し、タバコ値上げ絶対反対を頑なに主張し続けてきましたが、2010年10月からの1箱110円程度の引き上げによりタバコ関連業界の販売収益も大幅に増えた実績を目の当たりしてか、今年8月29日の財務省の税制改正要望ヒアリングで、JT及び外国タバコ会社は、それまでの頑なな絶対反対を転換させ、タバコ税率上げに賛成する意見を申し述べていました(ただし「小幅な上げ」をと。しかし本心は2010年と同じような大幅上げを内心は望んでいるように見受けられました)。

  4. たばこ販売組合はJTに依存して税上げ絶対反対に動員されてきておりましたが、2010年10月からのタバコ税上げでタバコ小売店も15%以上の販売収益増があったはずのところ、この小売店にはコンビニも含まれていて、2008年7月からのタバコ自販機でのタスポ義務化で自販機での購入機会が減り、その分がコンビニに回っています(ローソンでは2007年に比べて2009年は約44%の売上げ増となっている)。このため、2008年以降のコンビニ以外の小売店の収益減はタバコ税率上げに全く起因するものではないにも関わらず、あたかも税率上げに起因しているかのように思い込まされていますが、この件はコンビニの対面販売もタスポ提示を義務づける等の法的施策で対処されるべきと考えます。

  5. この10年間で、喫煙率(JT調査)は、男52.0%→33.7%と18.3%減、女14.7%→10.6%と4.1%減、タバコの販売本数も、3193億本→1976億本と、1217億本(38%)も減ってきています。(後記の補足資料参照)
    タバコ自動販売機台数も、63万台→32万台と52%減、自販機によるタバコ販売額も19.8千億円→5.9千億円と30%減となってきています。
    日本の喫煙者は、2011年で約2,200万人(男女計の喫煙率は21.7%)で、日本国民12,800万人の約17%で1/6に過ぎません。成人(男女計10,500万)に限っても、喫煙者は約20%で1/5に過ぎません。
    今年6/8に閣議決定された「がん対策推進基本計画」、及び7/10の厚生労働大臣告示「健康日本21計画」の喫煙率の低減目標(10年で12%へ)や受動喫煙防止のゼロ目標等の実現のためにも、国民の健康を重視したタバコ行政への転換を日本政府として抜本的に進めることが求められており、今回の税制改正大綱に「タバコ税率の大幅な引き上げ」を盛り込むことはその施策の要になるはずのものです

  6. タバコ産業・販売組合・栽培農家などは、これらの現実と社会的趨勢を直視し、早期にタバコの基本施策と関連産業のあり方の転換、販売転業や葉タバコ農家の転作などを抜本的かつ大胆に進め、また国等にその助成(タバコ税収の充当施策も含め)を早期に要請していくことが、タバコ産業関連業界や従業員・家族などに対する責務であるはずで、かつ国民をタバコの危害から救い、健康日本を実現していく早道になります。(このままではタバコ関連産業の自然消滅は必至です)
     (なお葉タバコ作付転換緊急対策事業として、2012年度に国から50.92億円の補助事業(補助率1/2)が実施されています http://www.maff.go.jp/j/budget/2011/pdf/hosei4_pr_p22.pdf

  7. 以上を日本政府として後押しし、その推進を大胆に進め、国民の健康を重視したタバコ行政を日本政府として抜本的に策定し、かつWHO-FCTC(タバコ規制枠組条約)を遵守するため、「たばこ事業法」の改廃を進め、包括的な“たばこ法制(たばこ規制法)”の策定が必要とされていることを、政府及び党税制調査会として充分にご理解いただき、2013年度の税制改正大綱に、「タバコ税率を大幅に引き上げる」ことに併せ、以上を盛り込んでいただくよう、お願い申しあげます。

  8. なお、今年8月29日の財務省の税制改正要望ヒアリングで、タバコ会社は、大幅なタバコ税率上げにより、タバコの不正取引・流通や違法タバコ(密輸・密売)が増えると外国の例をあげて強調していましたが、今年11月12-17日に韓国ソウルで開催されたWHO-FCTCの第5回締約国会議(COP5)で、それを否定するデータが公表されました密輸・密売規制は各国の政策と税関当局の熱意にかかっています。
(補足資料、図7~9参照)
  COP5では、「たばこ製品の不正取引廃絶のための議定書」が全会一致で採択され、今後40か国の締結で発効することになっており、
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002rkou-att/2r9852000002rkuj.pdf
わが国でも、政府と国会で署名と批准手続きが進むものと思われます。
謹 白

※参考資料、補足資料はPDF版にあります

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