2014年2月21日

咳止め薬「ネオシーダー」の製造販売中止および健康被害調査の緊急要請

特定非営利活動法人日本禁煙学会は、2014年2月21日付けで、第2類医薬品である鎮咳去痰剤「ネオシーダー」の製造販売中止および健康被害調査の緊急要請書を厚生労働大臣および医薬食品局長宛てに送付しました。
2014年2月21日
厚生労働大臣 田村憲久様
医薬食品局長 今別府敏雄様
NPO法人 日本禁煙学会 理事長 作田 学

第2類医薬品「ネオシーダー」の製造販売中止および健康被害調査の緊急要請

  • 第2類医薬品「ネオシーダー」から重金属や発がん物質が検出されました
  • ただちに製造販売を中止させ、製品の回収をご指示下さい
  • 健康被害調査を実施し、被害者に副作用救済制度をご適用下さい
  • 文書公開請求に対して不開示としていた使用成分をご開示下さい

【記】

 第2類医薬品である鎮咳去痰剤「ネオシーダー」から、国際がん研究機関(IARC)が最高度の発がん性(グループ1)を指定している多数の重金属や発がん物質が検出されたという論文が1月29日に公開されました1)。紙巻きタバコの約2倍含まれる有害ガス成分もあることもわかりました。

 市販されている医薬品からグループ1の発がん物質が多数検出されることは前代未聞のことです。本製品は1960年(昭和35年)に旧厚生省が製造販売を認可してから54年が経過し、長年にわたり多く消費されていること2)から、すでに健康被害が発生している可能性もあります。

 ただちに製造販売を中止し、市場から製品を回収して下さい。そして、本製品は煙を出す商品であり、使用者だけでなく、周りの人に対しても健康被害を生じている可能性がありますので,調査を実施して下さい。

 本製品にニコチン・タールが含まれることや依存者がいることはすでに2002年3)および2007年4)に報告されていましたが、文書開示請求に対して国は、成分などについて不開示として黒塗りの文書を出しています。今回発表された論文ではタバコ製品にしか含まれないはずのタバコ特異的ニトロソアミン(TSNA)がネオシーダーから検出されており、すなわち法で禁じられているタバコ葉の一部が使用されている疑いがあります。なぜ、ニコチンやTSNAが検出されているのか、不開示にしている使用原料は何か、ご開示下さい。
以上
参考文献
  1. 稲葉 洋平, 大久保 忠利, 杉田 和俊, 内山 茂久, 緒方 裕光, 欅田 尚樹.薬用吸煙剤ネオシーダーの葉中及び主流煙中の有害化学成分と変異原活性の測定.日本衛生学雑誌 Vol. 69(2014) No. 1(2014年01月29日公開)
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjh/69/1/69_31/_pdf
  2. 嶋根卓也.薬剤師を情報源とする医薬品乱用の実態把握に関する研究.医薬品・医療機器等レギュラーサイエンス総合研究事業 薬物乱用・依存等の実態把握と薬物依存症者に関する制度的社会資源の現状と課題に関する研究.平成24 年度総括・分担研究報告書.2013;1–17.
    ※嶋根らが行ったドラッグストアでの一般用医薬品の大量・頻繁購入調査研究によると,ネオシーダーは3番目に多い医薬品であることが報告されている
  3. 田中英夫,野上浩志,中川秀和,蓮尾聖子,ネオシーダーのニコチン含有状況から見た医薬品としての妥当性の検討.日本公衆衛生学会雑誌2002;49:929–933.
    http://web.nosmokeworld.com/neocedar/ronbun_htm.htm
  4. 山岡雅顕.ネオシーダーの依存性について.日本禁煙学会雑誌2007;2:2–5.
    http://www.nosmoke55.jp/gakkaisi/200701/index.html#yamaoka

緊急要請文
(PDFファイル247KB、2ページ)
第2類医薬品「ネオシーダー」の製造販売中止および健康被害調査の緊急要請